今時の模型作りにおいて、塗装前の表面処理としてサーフェーサーを使うことは半ば常識と化しています。
「細かい傷やヒケを埋める」、「下地の色を均一にすることにより塗料の発色を良くする(それにより模型表面の傷も発見しやすくなる)」、「塗料の模型へのくいつきを良くする」、「プラスチックの透けを防ぐ」というように、様々な役割を持つサーフェーサーですが、このサーフェーサー、昔からあったというわけではありません。
少なくともスネオが従兄弟のスネ吉にプラモデルの作り方を習っていた頃は模型用のサーフェーサーというものはありませんでした。(「ドラえもん」ネタね)
ではその時代のモデラーは塗装前の表面処理をどうしていたのでしょう?
答えは「銀色や灰色で下地塗装していた」です。(あと、溶きパテをエアブラシで吹いたりとか)
銀色や灰色は隠蔽力が高く、薄く塗っても模型の表面を均一の色にできます。また、その反射具合により表面のあらが一気に見えるようになります。
当時のモデラーはこうして模型の表面の状態を確認していたわけです。
これには他にも「プラスチックの透けを防ぐ」という意味もあります。
当時のプラスチックの成型色は今と違い非常に透けやすく、そういう透けは「玩具っぽい」と表現され、より「ソリッドな」表現を求めるモデラーにとって克服の対象でした。(「模型って玩具じゃん」という実も蓋も無いつっこみは無しね。)
サーフェーサーが一般化し、成型色も透け難くなって「簡単フィニッシュ」という作成法でもそれなりに見れるものが作れるようになった今の時代、こういう話は昔話にすぎませんが、この方法は今でも十分使えます。
特に組み立てる模型のモールドが繊細で、サーフェーサーではモールドを埋めてしまいかねない場合には。
そんなわけでこの方法、モデラーなら選択肢の一つとして覚えておいてもいいのでは、と私は思います。
銀色下地は「銀剥し」というウェザリング技法にも使われます。