黒立ち上げのグラデーションの黒歴史

黒立ち上げ(もしくは暗色立ち上げ)のグラデーションとは何か?

 下地に黒(もしくはマホガニー等の暗い色)を塗り、その上にエアブラシで陰になる箇所を吹き残しながら目的の色を塗装することにより、簡単に濃いグラデーションを表現できる塗装法のことです。
 陰を吹き残して陰影を演出するだけでなく、エッジやパネルラインを吹き残すことで面の膨張感を演出するのにも使われます。
 MAX渡辺氏の作例とホビージャパンの特集により知名度が飛躍的に向上し、MAX塗りという呼称が通称となっています。

黒歴史

 この塗装法自体はMAX塗りという名前が登場するより前から存在します。
 私の手持ちの資料で確認できる範囲では、模型誌ライター越智信善氏の作例に1990年代前半から見ることができます。
 この塗装法の解説が詳しくなされたのは、私の知る限りでは「ミリタリーモデリングマニュアル2・ドイツ軍AFVの塗装攻略法(ホビージャパン1994年2月号別冊)」の越智信善氏の記事が最初です。
 この項を書くにあたり、ホビージャパンのバックナンバーを調べたのですが、MAX渡辺氏の作例においてこの塗装法が用いられたのはホビージャパン1996年3月号のザクII・A型が最初のものと思われます。
 この当時はMAX塗りという言葉はありませんでした。
 また、これに前後する時期からMAXファクトリーの商品紹介記事においても黒立ち上げのグラデーションがなされているのが見てとれます。
 氏の作例の本誌への次の登場はホビージャパン1997年5月号のザクII・S型で、この号では「カラーリングに関しては最近流行(?)となりつつある、下地に暗い色(黒等)を吹いてから行っている。」との記述を見ることができます。(転載ではなく引用ね。)
 また記事から、MAX渡辺氏がガンダムウェポンズ6(私は未購入)の作例を手がけたことがわかります。
 MAX渡辺氏の記事でMAX塗りという言葉が登場したのは、ホビージャパン1998年4月号のGP−1Fbの作例においてで、「S長(S編集長)曰くのMAX塗り」との記述があります。  ここからMAX塗りの名付け親は当時のホビージャパンの編集長S氏であることがわかります。  MAX渡辺氏の記事にはさらに「越智氏も多用されているグラデーション塗装法のひとつなのですが」という記述があります。
 私の知る限りではこれがMAX塗りという言葉の最初の登場なのですが、その前に発売されたガンダムウェポンズGP−1編(私は未購入)において塗装を手がけた由の記述があるので、もしかしたらそちらの方でもこの言葉が使われていたのかもしれません。私には確認する術はありませんが。

事実確認

 補足を含めてここではこの件に関して確認できる事実を列記します。

  • この塗装法は越智氏のオリジナルではないかもしれないが、越智氏の作例が有名で、一部では越智塗りと呼ばれていた。
  • S編集長は越智氏がこういう塗装法を多用することを知っていた筈。(件の「ミリタリーモデリングマニュアル2」においてはキングタイガーの作成記事まで記述している。)
  • MAX渡辺氏は越智氏がこういう塗装法を多用することを知っていた。
  • にもかかわらずS編集長はこの塗装法をMAX塗りと呼んだ。

お願い

 この項は別に誰かを中傷する目的で書いたものではありません。
 ただこのページを訪れる人に黒立ち上げのグラデーション塗装についての事実関係を知っておいてほしくて書いたものです。
 よって中傷目的で引用することはしないようにお願いします。
 私はなんでもかんでも原典の方が偉いという原典主義者ではありません。むしろ現実主義者で功績主義者です。
 この塗装法が一般化したのはまぎれもなくMAX渡辺氏とホビージャパン編集部の功績であり、この塗装法へのクリアカラーや蛍光カラーの適用を含め、私は氏のことを高く評価しています。
 ただMAX塗りという名称はなんとかならなかったのかと思うだけで。
 あと、これを読んだ皆さんへのお願いなのですが、戦車の模型等がこの塗装法で塗られていてもMAX塗りというのは避けてくださいね。作った人が聞いたら気を悪くするかもしれませんから。

まったくの余談

 この塗装法がMAX塗りという名称で一般化した際、越智氏はどう思われたのでしょう?

まったくの余談、その2

 某雑誌が創刊するにあたって、ホビージャパンからS編集長と編集者の何名かが「卒業」していたなあ…(以下は危険な発言なので省略)

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