記憶に間違いがなければ、それは1994年の末頃だったと思います。
GSIクレオス(当時、グンゼ産業)から一気に40色の新色が発売されたのは。
キャラクターカラー、日独軍用機カラー、日露戦車カラーといったラインナップの107番から136番、パールコートやスーパークリア、スーパーイタリアンレッドといったカーモデル向けのラインナップの151番から160番。それらはモデラーのニーズにこたえたものでした。
その一方、新色発表前に発売された模型の塗料指定は当然のことながら新色に対応していません。
そこで、ここではクレオスの新色に対応した塗料指定について記述したいと思います。
当然のことながら表の塗料の番号はクレオスのMr.カラーのものです。
種別 | 機体上面 | 機体下面 | コクピット |
---|---|---|---|
海軍機(三菱系) | 124番暗緑色(三菱系) | 35番明灰白色(三菱系) | 126番コクピット色(三菱系) |
海軍機(中島系) | 15番暗緑色(中島系) | 56番明灰緑色(中島系) | 127番コクピット色(中島系) |
海軍機(川西系) | 124番暗緑色(三菱系)(90%) 65番インディブルー(10%) | 35番明灰白色(三菱系) または8番シルバー | 126番コクピット色(三菱系)(50%) 127番コクピット色(中島系)(50%) |
海軍機(愛知系) | 15番暗緑色(中島系)(90%) 6番グリーン(10%) | 35番明灰白色(三菱系) | 6番グリーン(50%) 5番ブルー(45%) 7番ブラウン5% |
種別 | 機体上面 | 機体下面 | 機体全面・下面 | コクピット |
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陸軍機(中島系) | 129番濃緑色(中島系) | 128番灰緑色 | 8番シルバー | 127番コクピット色(中島系) |
陸軍機(川崎系) | 130番濃緑色(川崎系) | 128番灰緑色 | 8番シルバー | 19番サンディブラウン |
部位 | 色 |
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プロペラ | 131番赤褐色 |
カウリング | 三菱系は125番カウリング色(*1) |
識別マーク | 58番オレンジイエロー |
さび止め | 57番青竹色(*2) |
(*1)カウリングの塗装色ですが、同じ零戦でも三菱製は黒青色、中島製は黒というように違っていたそうです。クレオスのカウリング色は、色合いからいって、この三菱系のカウリングの色を再現したものなのでしょう。
(*2)青竹色は、半透明で緑がかった青色の防錆剤を塗装した色なので、銀下地にクリアブルー+クリアイエロー少量を塗装したほうが再現度が高いといえます。
日本軍の機体色については塗料名がそのまんまなので、このように表にまとめる必要性はほとんどありません。
機体内部色はいうに及ばず、プロペラやカウリングについても新色が発売されたのは嬉しいところです。
紫電改などの川西系、九九艦爆などの愛知系用の専用カラーも商品化されないものでしょうか。需要はあると思うのですが。
大戦時の日本機の塗装についてはいくつかのバリエーションがあるのですが、正確な塗装色は写真が白黒のものばかりなので現存する機体からサンプルを採取するぐらいしか確認する方法がないのが現実です。
それゆえにその「実際の色」についてはマニアの間で議論が紛糾する原因になっていたりします。
零戦飴色塗装論争は、その最たるものといえるでしょう。他にも、震電の下面は塗装されていたか無塗装だったかのようなものまで、諸説紛紛です。
時折、各種資料が「発掘」されることがありますが、明確な証拠は少なく、多くは手記や目撃談などの曖昧な文献資料に基づいた議論ですので、その議論が有意義なものになることはあまり期待できず、言葉尻のとらえあいの不毛な論争になることも少なくありません。
様々な状況での実機サンプルはあるものの、そこから再現するには環境に伴う経年劣化による変色の影響を差し引く必要があり、この問題の複雑さを増す要因の一つとなっています。
種別 | 機体上面 | 機体下面 | 機体内部 | ||
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グリーン系迷彩 RLM70/71/65 1936年〜 |
18番 RLM70 ブラックグリーン | 17番 RLM71 ダークグリーン | 115番 RLM65 ライトブルー | 60番 RLM02 グレー | |
RLM71/02/65 RLM70/02/65 1940年〜 |
18番 RLM70 ブラックグリーン | 17番 RLM71 ダークグリーン | 60番 RLM02 グレー | 115番 RLM65 ライトブルー | 60番 RLM02 グレー |
グレー系迷彩 RLM74/75/76 1941年〜 |
36番 RLM74 グレーグリーン | 37番 RLM75 グレーバイオレット | 117番 RLM76 ライトブルー | 116番 RLM66 ブラックグレー | |
トロピカル迷彩 RLM79/80/78 1941年〜 |
119番 RLM79 サンドイエロー | 120番 RLM80 オリーブグリーン | 118番 RLM78 ライトブルー | 116番 RLM66 ブラックグレー | |
末期グリーン系迷彩 RLM81/82/83 1944年〜 |
121番 RLM81 ブラウンバイオレット | 122番 RLM82 ライトグリーン | 123番 RLM83 ダークグリーン | 117番 RLM76 ライトブルー | 116番 RLM66 ブラックグレー |
マーク色 |
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113番RLM04イエロー 114番RLM23レッド |
独軍の塗装色は同じグリーン系迷彩でも時代によって使用する色が異なるので、このような表は有用と思われます。
当時発売された新色のドイツ機用はなんと9色。一気に面倒な混色の手間が減りました。
ドイツ機は当時のドイツでカラー写真がかなり普及していたこともあってカラー写真が豊富に存在し、色の資料にはあまり困りません。その一方、その色合いを再現した塗料は少なく、その混色はなかなかモデラー泣かせでした。
発売された新色はドイツ機モデラーの要望にかなりこたえたものといえるでしょう。