入手性が高く近年は味も向上している袋麺。その袋麺をアウトドアで調理する際にはどういうサイズのクッカーを持って行くのがいいのかというのを考えてみた記事。
数日間の登山を考えるならば荷造り的には棒ラーメンが圧倒的に便利で、そこであえて袋麺というのはどうなんだろうと思いつつ参考までに今まで確認した結果をまとめてみました。
袋麺を調理するためにはどのくらいのサイズのクッカーが必要か。それを知るためには袋麺の形状と大きさを把握することが必要。というわけで、まずは各社の袋麺の形状と大きさを調べた結果のまとめ。
クッカーに入らない麺は折って入れてしまえばいいだけなのですが、あえて折らない方向で。
市販の袋麺を形状で分類すると概ね角形と角丸と丸形に分けられると思います。
角形(四角形)はおそらく最も一般的な形状で幅は11cm程度。対角線長は計算値では11×√2≒15.56cm程度。実際は角が少しかけているので実測では15cm程度。角型のクッカーであれば11cm鍋でも入りますが、丸型のクッカーに入れる場合は15cm鍋が必要となります。
角丸は「サンヨー麺の力」などに見られる形状で、幅は11cm程度。対角線長は実測で13.5cm程度。角型のクッカーの場合は11cm鍋が、丸型のクッカーの場合は14cm鍋が必要。
丸形は「日清ラ王」、「マルちゃん正麺」、「サンヨー頂」などに見られる形状で、「日清ラ王」や「マルちゃん正麺」は直径11cm強で、「サンヨー頂」は12cm強。「日清ラ王」や「マルちゃん正麺」はアウトドア用クッカーで一般的な12cm鍋で収納も調理もできますが、「サンヨー頂」は麺だけでもぎりぎり12cm鍋に入らない大きさ。
調理に必要な鍋の容量は袋麺一食分の調理には概ね水500mlを使うことと、麺と具材で概ね200ml弱増量されることと、吹きこぼれや調理場所の傾きで溢れ出ることを防止するために+200ml程度の余裕が欲しいことから、調理一食分毎に900ml程度の容量はあった方がいいでしょう。
以下に手持ちのクッカーを用いて袋麺の収納の例を紹介します。
例の中に角型や角丸のクッカーがないのは、現状、角型や角丸のクッカーはアルミのものしかないためです。
私は基本的にアウトドア用クッカーはステンレスかチタンのものしか購入しません。理由は熱伝導性の高いアルミはそれゆえに鍋のふちが冷めにくくクッカーに口をつけるような食べ方には不向きだからです。
収納できる袋麺の種類は限られるものの、持ち運びやすさにおいても食べやすさにおいてもクッカーの価格においても優れた組み合わせ。
画像はロゴスのツーリングクッカーセットのポット大で11cm丸形麺の製品を2個収納可能。付属のフライパンは「取手付きの蓋」として利用しています。
単純に12cm丸型クッカーを購入するならスノーピークのケトルNo1がお勧め。注ぎ口がついているのでコーヒーを入れるときなどにも便利ですから。
12cm丸型鍋の代わりに11cm丸型鍋にした場合、調理の際はぎりぎり入らないのでくだいて入れる必要があります。
15cm以上の大きさの丸型鍋なら大抵の袋麺の収納および調理をすることはできるので、クッカーの重量と大きさは増えるものの袋麺の種類を選ばないという点においては実用的な組み合わせ。
画像はキャプテンスタッグのステンレスラーメンクッカー2L。個人的にはその17cmというサイズが実用性を損ねていると思う製品。同じような仕様で容量1L程度の15cm丸型鍋や直径を減らした分高さを増やした容量2L程度の15cm丸型鍋だったらなお実用的だったのにと思います。
名称はラーメンクッカーでも袋麺を調理するために歩きで山に持っていく気にはなれないサイズで、オートキャンプ向けの製品だと思います。袋麺二食分を余裕を持って調理できる容量があっても、山で実際に袋麺二食分を一度に調理することがあるかといえば、そんなことはそうないわけで、調理できる量は一食分でもコンパクトさと軽さにおいて上回っているか、直径を減らして高さを増やした分だけ袋麺の収納数が多いかした方がいいと思うんですよね。
14cm丸型鍋であれば11cm角丸麺の収納および調理ができるので12cm丸型鍋より調理できる袋麺の種類は増えます。しかし、コンパクトさで選ぶなら12cm丸型鍋のクッカーでしょうし、調理できる袋麺の種類を選ばない15cm以上の丸型鍋と比べて圧倒的にコンパクトというわけでもないですし、あえて選ぶ理由は無いと思う組み合わせ。
画像はベルモントのステンレスクッカー5点セット(ケース付)BM-118のφ143の鍋で収納しているのは実は角形麺。このクッカーは内径が14cmより少し大きいので、端を砕くように押し込めばなんとか角形麺を収納可能。皿兼用の蓋に取っ手がついてないのが欠点ですが、鍋側の取っ手が干渉するものの付属のフライパンを蓋代わりに使えないこともないので、まずまず実用的なクッカーだと思います。
このセットに付属のφ124の鍋も内径が12cmより少し大きいので、通常の12cm丸型鍋ではぎりぎりで入らない「サンヨー頂」をぎりぎりで調理できたりします(収納は無理)。ただ、容量が700mlしかないので水500mlと麺だけでの調理でも簡単に吹きこぼれれてしまい、実用性は低いですが。
画像左はキャプテンスタッグのステンレスラーメンクッカー2Lを同じくキャプテンスタッグのメッシュクッカーバッグSに収納したもの。画像右はロゴスのツーリングクッカーセットをイスカのメッシュ クッカーバッグ ショッキヨウに収納したもの。
クッカーとクッカーの収納物がばらけないようにしての持ち運びを考えると、クッカーを収納ケースに入れて運ぶのが簡単で安全。それゆえ、収納ケースが付属していないクッカーの場合、収納ケースを別に揃えることになりがち。そして、そのために+500〜1000円程度の支払いをすることを考えると、最初から収納ケースが付属しているクッカーを購入した方が合計金額では案外お買い得だったりします。選択肢はその分減少してしまいますが。
アウトドアで袋麺を調理し、その調理した鍋から直接食べることを考えると、クッカーに口をつけるような食べ方に不向きなアルミ製鍋は除外することになり、鍋の素材はチタン製かステンレス製に限定されます。
現状、チタン製やステンレス製の角型クッカーが存在しない以上、クッカーの形状は丸型に限定されます。
この条件で調理できる袋麺の種類を選ばないサイズで最小のものとなると、15cm丸型鍋でチタン製かステンレス製のものとなります。
現状、アウトドア用15cm丸型鍋でステンレス製のものはないので、この条件に適合するのはチタン製15cm丸型鍋のみとなります。
チタン製15cm丸型鍋の中で私個人のお勧めのものを挙げれば、エバニューのチタンウルトラライトクッカー3となります。
同クラスの丸型鍋の中ではおそらく最軽量で、画像のように角形麺を二個収納可能。500mlと1000mlの水量目盛りと注ぎ口がついているのもなにげに便利。まあ、注ぎ口は蓋で密閉できなくなるという点において炊飯などには不利な点ともなるのですが、私の場合、熱伝導性の低さから焦げつきやすいチタンクッカーで炊飯する気はもとからないので問題になりません。
実売価格4000円前後でメッシュバッグ付きですので、2000円前後のステンレス製クッカーにメッシュバッグを買い足したり、ましてや色々悩んで複数種類のステンレス製クッカーを買ってしまうよりは、最初からこのクッカーを買った方がいいと思います。
EPIのATSチタンクッカー TYPE-2 Mもチタン製15cm丸型鍋で、加えてATS加工により底面に極薄いアルミ層がある分、通常のチタンクッカーより焦げ付きにくくなっていますが、実際に使ってみた感じではATS加工による熱伝導性向上効果はあまり高いものではありませんでした。上から完全に覆い被さる形となっている蓋は構造的には(上に重しをのせることで沸騰圧を逃げにくくして)飯盒代わりに使うのに向いていますが、焦げつかせずにこれで炊飯するのは相当難しいと私は思います。
チタンウルトラライトクッカー3と比べると、少し重い(チタンウルトラライトクッカー3が130gで、ATSチタンクッカー TYPE-2 Mが202g)分と、ATS加工により底面が紙やすり状になっていて接触部を傷つけやすいことによるデメリットの方が大きいと思います。
チタンの熱伝導性の低さによる焦げ付き防止にはATS加工の製品を使うよりバーナーパットを使った方が良い効果を得られるでしょう。
画像はユニフレームのバーナーパット。
私は15cm鍋を使うのでMサイズを購入。質量65g。バーナーパット自体はアルミパンチングメタルや銅板で自作してる人がいますし、私もそうしようかなと思ったのですが、性能比較用も兼ねて購入。
ウルトラライトクッカー3の130gに65gを加えても195gでATSチタンクッカー TYPE-2 Mの202gより軽いわけで、ATS加工の効果とバーナーパットの効果を比較すれば、チタンウルトラライトクッカー3を購入し、必要に合わせてバーナーパットを揃えた方がいいのではないかと私は思います。
(2013/12/22) 実際に11cm丸型鍋で確認した結果と、麺の大きさを再計測した結果を踏まえて記事修正。