爆音液燃ストーブPrimus Omni Lite TiをQuietStove Model 311で静音化

 Primus Omni Lite Tiはガス缶にホワイトガソリンに灯油に軽油にとほとんどの一般的な燃料が使える分離型ストーブ。液燃ストーブにしては弱火の調整が可能で、部品材料にチタンを使用していることで液燃ストーブにしては軽量で登山にも持って行きやすい製品なのですが、欠点は燃焼音。フレームスプレッダー式のストーブは燃焼音が大きいものですが、その中でもトップクラスと感じる爆音。それを静音化してくれる製品があるというので購入して試してみました。

QuietStove Model 311の重量  画像右のクッキングスケールの上に乗っているのがその製品。名はQuietStove Model 311で米国の製品。個体差があるとは思いますが、私が購入したものの重さはおよそ40g。購入には米国から日本への送料を含めて100米ドルくらいかかりました。
 画像左はPrimus Omni Lite Ti。ジェットニップルは付属のケロシン(灯油)・ディーゼル(軽油)用(0.25mm径)に交換済み。基本的に灯油で使っています。

QuietStove Model 311の装着  使用方法はフレームスプレッダーを取り外してからベルハウジング(バーナーカップ)の中に隙間ができないように置くだけ。説明書では上面の矢印が燃料ラインを指す向きに置くことになっていますが、構造的には燃料ラインとの向きは関係ないと思います。回転させて様子を見つつベルハウジングと密着する向きに置くことの方が重要でしょう。プレヒートパイプに火をあてる必要があるタイプのストーブ(XGK EXとか)であれば向きの影響はあるでしょうから、矢印の向きに関する記述は各製品で共通の説明書を使っていることによるのでしょう。

Primus Omni Lite Tiのプレヒート  実際に使ってみるにあたってまずはプレヒート。
 燃料にガソリンを使うのであれば、ベルハウジングにQuietStoveを置いた状態のまま普通にプレヒート(燃料ボトルに取り付けたエルゴポンプをポンピングして燃料ボトル内の圧力を高めてから燃料ボトル側のバルブを開け、本体側のバルブを2秒ほど開けてから閉じることでベルハウジング内にガソリンを出して下のプライミングパッドにガソリンを吸わせ、それに点火し、ストーブが燃料気化に十分なくらい温まるのを待つ)すればいいのでしょうが、灯油を使う場合などで煤防止かつ点火しやすさのために燃料用アルコールなどをプレヒートに使う場合は以下の手順の方がプレヒートしやすいと思います。
 1.燃料ボトル側バルブと本体側バルブが閉じているのを確認してOmni Lite Tiを組み立てる。
 2.QuietStoveを乗せない状態でベルハウジング内に燃料用アルコールを注ぐことでベルハウジング下のプライミングパッドに燃料用アルコールを吸わせる。
 3.ベルハウジングにQuietStoveを置く。
 4.ストーブ本体側面の穴からプライミングパッドにライターなどで点火。
 5.ストーブが燃料気化に十分なくらい温まるのを待ちつつ、エルゴポンプをポンピングし、エルゴポンプの「ON」と書かれた側を上にして燃料ボトルを置く。

Primus Omni Lite Tiの点火  プレヒートに使った燃料が燃え尽きたら、燃料ボトル側バルブを開け、本体側バルブを少し開けます。すると、QuietStoveの穴から気化した燃料が吹き出すので、ライターなどでそれに点火。
 火力調整は弱火でも安定して可能。むしろフレームスプレッダー使用時より調整幅が増えている感じ。
 ただ、QuietStove本体が温まるまで燃焼が安定しないようで、強火にすると赤火が出ました。
 弱火でしばらく燃やしてからなら燃焼も安定。注意書きにもストーブが完全に温まるまで弱火から中火を1〜2分維持するように書いてありました。
 燃焼音は確かにかなり静音化されました。体感的には弱火は通常のガスレンジ程度の音で、強火は台所用換気扇を強で回したくらいの音という感じ。

Primus Omni Lite Tiの消火  燃焼の確認をしたので、お湯を沸かした後に消火作業。
 といっても本体側バルブを開けたまま、エルゴポンプの「OFF」と書かれた側を上にして燃料ボトルを置くだけ。エルゴポンプの燃料吸い込み部分が燃料につからなくなるので、燃料ホース内の燃料が押し出された後は燃料ボトル内の圧搾空気が排出されるだけとなり、火が消えます。
 QuietStoveは熱膨張でベルハウジングにがっしりはまっているので、その取り外しはストーブが完全に冷えてから。QuietStove自体がかなりの蓄熱をしているので、冷えるのには相応の時間がかかります。

 実際に使ってみた上でQuietStoveのメリットを挙げると静音化、弱火の制御幅の増大、耐風性の向上、沸騰時間の短縮(説明書によれば10%短縮できるらしい)といったところでしょうか。
 デメリットは強火で使えるようになるまでの時間増大、消火後のストーブが冷えるのを待つ時間の増大、運搬重量の増大(40g)、プレヒートの火が消えない内にバルブを開いて点火といったことができないといったところ。
 個人的には買う価値はあると思いますが、販売価格と効果を考えると、万人にお勧めできるわけでもないと思います。
 とりあえず液燃バーナーの轟音が気になる人に、こういう製品もあるよという紹介まで。

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