エアブラシシステムの実用的低価格最小構成を考える

 これからエアブラシを導入しようと考えている人の参考までにその実用的低価格最小構成を考えてみました。
 必要な条件としては以下のものを想定しています。

  • ハンドピースから水を噴きにくいこと
  • 長時間連続作業が可能なこと
  • 空気圧調整が可能なこと
  • 静粛性が高いこと
  • 可搬性が高いこと

圧縮空気供給源の選択

 圧縮空気の供給源としては、まず圧縮空気が充填されている缶であるエア缶か機械で空気を圧縮するエアコンプレッサ(以下、コンプレッサ)かの二択があるわけですが、ここはランニングコストと作業性から考えてコンプレッサを選択します。
 エア缶は一缶の値段をコンプレッサの値段と比較して考えればイニシャルコストは低いですが、内容物消費や温度低下による空気圧低下など長時間作業に向きませんし、長い目で見るとランニングコストも高いのでお勧めできません。

コンプレッサの選択

 使用するコンプレッサの出力についてですが、ノズル口径0.3mmのエアブラシで一般的な塗装作業をする分には0.1MPa程度の出力はあった方がいいです。
 ゆえに最大連続使用圧力0.1Mpa未満なコンプレッサーはお勧めしません。
 ノズル口径0.5mmのエアブラシで大面積塗装する場合は0.2〜0.3MPaはあった方が便利なので、できればそのくらいの出力はあった方が良いと思います。
 そして、空気圧を微調整するために低圧用レギュレータを導入することを考えるなら0.4MPa以上の出力はむしろ必要ないでしょう。
 私個人は1MPa以上の出力があるような工具用コンプレッサを使っていたこともありますが、動作音も消費電力も大きく一般家庭での模型製作にはお勧めできません。
 連続使用時間は長いほうがいいですが、圧力スイッチ付きコンプレッサをエアタンクや長めのエアホースと併用して使う分にはあまり気にする必要はありません。
 空気吐出量についてはノズル口径0.3mmのエアブラシで塗装作業するなら最低限毎分5Lはあったほうがいいです。ノズル口径0.5mmのエアブラシで大面積塗装する場合は毎分10L以上あることが望ましいです。

ハンドピースの選択

 ハンドピースの選択ですが、汎用に使う分にはノズル口径0.3mmでダブルアクションで塗料カップが本体に直付けになっているものをお勧めします。
 ノズル口径についてですが、私個人はノズル口径0.2mmと0.5mmを目的別に使い分けることが多いですが、0.3mmはそれぞれの目的をそれなりのレベルでこなせるのでハンドピースを一個だけ使うのであれば0.3mmを選ぶでしょう。
 操作方法についてですが、シングルアクションは空気量をボタンで、ニードルの引き幅をダイヤルで操作することから、ニードルの引き幅を決まった位置で固定できる一方、そのままではノズルからニードルを引いた分の塗料が出っぱなしの状態になってしまいます。それを避けるためには塗装するたびにいちいちニードルの引き幅をダイヤル操作で微調整する必要があることから作業性が悪くお勧めできません。
 トリガー式は構造上ニードルの引き幅と空気量をトリガーで同時操作することになり、ダブルアクションのようにボタンの押し幅で空気量を、ボタンの引き幅でニードルの引き幅をというような細やかな操作ができないので技能の熟練上お勧めできません。
 塗料カップ(以降、カップ)が本体に直付けになっているものをお勧めするのは、その方が洗浄しやすいからです。
 ハンドピースの洗浄時はニードル部分まで洗浄筆を入れられることが望ましく、カップが上付けで直付けなハンドピースは概ねその条件を満たします。
 カップ横付けやカップ上付けでも交換式カップの穴が小さいものはニードル部分を筆などの用具で直接洗浄することができず、洗浄しきれなかった塗料がハンドピース本体内に残りやすくなります。

ピースハンガーの選択

 ピースハンガー(エアブラシホルダ)はテーブルやコンプレッサなどにクランプやネジ止めで固定するものと、卓上に置いて使用するものの二種類に分類できますが、可搬性を考えるなら卓上に置いて使用するものが良いと思います。

実例

エアブラシ実用的低価格最小構成  以上のような条件を考えて選択したものが画像の組み合わせです。買ってもいないものお勧めするのもなんなので、実際に購入して試用してみました。
 コンプレッサはToolsislandで販売しているオイルレス・ミニエアーコンプレッサー3Lタンク付き。
 ハンドピースはエアテックスのPEACE3。
 ピースハンガーはGSIクレオスのMr.スタンド&トレイセットII。

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 オイルレス・ミニエアーコンプレッサー3Lタンク付きは3気圧(≒0.3MPa)で作動し4気圧(≒0.4MPa)で停止するオートスイッチ付きで空気吐出量は20〜23L/minと出力的には十分な性能があり、フィルタレギュレータが付属し、騒音も47db程度。それなりに良品質な1/8インチ口径平行ネジ(Sネジ)のエアホースも付属して現時点で7990円というのはかなり安価だと思います。
 性能的には近いエアテックスのAPC-002が2〜3万円することを考えるとかなりの安さです。
 この製品にはタンク無しで幾らか安価な製品(エアテックスのAPC-001Rとほぼ同等の性能のもの)もありますがこの構成で使用することはお勧めしません。
 タンク無しの圧力スイッチ付きコンプレッサの場合、本体直付けのフィルタレギュレータで低圧に圧力調整すると圧力スイッチの動作回数が(カチカチと連続動作することにより)増えてしまいコンプレッサの寿命を縮めてしまうことになります。また、圧縮直後の空気がフィルタレギュレータを通過してしまうことになるため、圧縮空気に含まれる水分が飽和水蒸気圧を越えてしまうような(つまり、空気中の水分が凝結してしまうような)場合でも圧縮されてからの時間と凝縮速度の問題で凝結する前の水分がフィルタレギュレータを通過してしまいがちで、ハンドピースから液体の水を含んだ圧縮空気を噴くことになりやすくなります。このような液体の水は非水溶性塗料使用時はかなり重大な問題となります。
 これらの問題を解決するためには凝結後の水分を濾過するための追加のフィルタと凝結に必要な時間を得るための長めのエアホースなりエアタンクなりが必要となります。
 長いエアホースをエアタンク代わりに使えば圧力スイッチの動作回数を減らせ、圧縮された空気中の飽和水蒸気圧を越える水分もエアホースを通過する過程で水滴となって追加のフィルタで濾すことができますが、可搬性は当然さがります。

 エアテックスのPEACE3はダブルアクション式0.3mm口径ハンドピースの中では低価格(現在、Joshinで4300円)で、ニードルパッキン(塗料カップ)もテフロン製で模型用塗料などに使われる強い溶剤の使用にも耐えます。
 エアブラシは似たような条件でさらに安いものもあるにはあります。
 例えばHD-130や130はAMAZONで送料込みで2400円程度で購入できますが日本語の説明書はついていませんし、部品の請求もできません(これらについてはエアテックスのハンドピースの部品がそのまま流用できたりしますが)。エアブラシを使い慣れている人には問題ないとは思いますが、そういう意味ではこれからエアブラシを始める人にはお勧めできません。
 PEACE3であれば簡易ながらも日本語の説明書もついていますし、部品の請求もできますし、部品代も安価で、エアテックスにDVD(エアブラシの使い方を解説しているもの)を求めることもできます。しいて欠点を挙げればコントロール幅が幾分狭いくらいです(おそらくニードルのテーパー長が短いため)。

 Mr.スタンド&トレイセットIIは可搬性が高いのもさることながら、高さがあるのでハンドピースに色々と取りつけてグリップ部分が伸びても対応できるところと、ホルダの形状的にニードルキャップを外した状態のハンドピースでも安心して置けるのがいいところです。

 これら全部で14000円足らず。私がエアブラシを使い始めた時期と比べると随分安価になったものだなと思います。

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