エアブラシシステムの分解組立を容易にするための各部接続のワンタッチ化と、空気圧調整を容易にし圧縮空気の水取りをより確実にするためのフィルタレギュレータ増設方法についての記事です。
配管の接続において空気漏れや水漏れを防ぐためにネジ継手に巻きつけて使用する自己融着テープ。
取りつける側を手前にして時計回りに巻きつけて使用します。
配管の接続において空気漏れや水漏れを防ぐためにネジ継手に塗布して使用する封着剤。
シールテープと違ってテープ片が管内にとぶ心配がありません。
画像はロックタイトの565。テフロン入りでスムーズに締め付けでき、高粘度でエア漏れし難い一方で、低強度で分解の際は楽というなかなかの優れもの。グラム単価が高いですし、シールテープで代用できないこともないので、絶対必要というわけではありませんが、配管の接続の際にはあると便利です。
ネジの脱着において使用する工具。配管の接続において継手部分をしっかる締めつけるための使用。画像は幅を調整できるモンキーレンチ
接続部の固定用と接続部のねじ回し用に二個あった方がいいでしょう。
まず、コンプレッサ(吐出口がPF1/8オスニップルのもの)の接続をワンタッチ式ハイカプラソケットへ変更する場合について説明します。
コンプレッサの吐出口がPF1/8オスニップルの場合、それに直接接続できるハイカプラソケットはありません。
ハイカプラソケットにはオネジ取付用とメネジ取付用がありますが、ネジの規格は1/4インチ以上のPT規格のものが殆どです。
PFオネジはPTメネジに組み合わせることはできないことから、この場合の適切な接続としては、PT1/4オネジのハイカプラソケットとPF1/4×PF1/8の異径中間ソケットを組み合わせ、異径中間ソケットとコンプレッサの接続部にOリングをはさみこんで空気漏れを防ぐというようなものが一例として挙げられます。その例について以下に解説します。
日東工器製のワンタッチ式ハイカプラソケット。
片側はPF1/8メス、もう片側はPF1/4メスの中間ソケット。今回使用したものはEARTH MAN製。
ニトリルゴム製のOリング。この例で用いたコンプレッサのPF1/8オスニップルの場合はP9が適切なサイズでした(ノギスで直径を測定)。
まず、ハイカプラソケットのオネジの部分にシールテープを巻きつけてから異径中間ソケットにねじ込み、レンチでしっかり締めつけます。
シールテープはネジ山二つほどネジの先端を出すようにして、締めつけるときにほぐれないようにネジの先端を手前にして時計回りに2〜3回くらい巻きつけてから引きちぎり、自己融着するように指で押さえてなじませます。(親指の腹で巻きつけたテープとリールのテープを押さえつけ、伸びる部分を限定しながら引っ張るとちぎりやすいです。というより、そういう風に押さえないとテープが引っ張られた分伸び続けてなかなかちぎれません)
コンプレッサの吐出口であるPF1/8オスニップルにP9サイズのOリングをはめ、それからハイカプラソケットと異径中間ソケットを組み合わせたものを手回しで締めつけます。
これでコンプレッサの接続方式のワンタッチ式ハイカプラソケット化は完了です。
このようにコンプレッサの接続方式をハイカプラソケット化することで、接続部がハイカプラ規格のエアホースをつなげるようになります。
↑Oリングとかは通販で買うより近場のホームセンターなどで買った方が送料がかからない分、安いと思います。
ハンドピースの接続にワンタッチジョイントを用い、プラグを追加購入して交換対象のハンドピースに接続しておけば、複数のハンドピースの作業中の交換が容易になります。
画像はアネスト岩田のクイックジョイントとプラグ3ケセット。ハンドピースのつなぎかえに用いるPF1/8ネジ規格のワンタッチジョイントは各社から発売されていますが、アネスト岩田のものが価格的にも入手のしやすさにおいても扱いやすいものと思います。
画像はハンドピースとエアホースをクイックジョイントで接続したもの。
このようにエアホースとハンドピースをクイックジョイントを経由してつなぐことで、クイックジョイントのプラグを装備したハンドピースの交換を簡略化できます。
使用するコンプレッサの性能に見合った圧力計を組み合わせたフィルタレギュレータを用い、コンプレッサとフィルタレギュレータの接続に長いエアホースを用いてエアタンク代わりにすれば、空気圧調整を容易にし、圧縮空気の水取りをより確実にし、圧力スイッチ付きコンプレッサの圧力スイッチ動作回数を減らすこともできます。
画像はSTRAIGHTのフィルタレギュレータ 1/4 15-188。フィルタレギュレータの接続部はPT1/4メスで、0.4MPaのゲージの圧力計とPT1/4オス×PT1/4オスのニップルとPT1/8オス×PT1/4オスのニップルとブラケットが付属。
使ってみた感じ、0.05MPa程度の低圧に設定しても安定した空気圧をハンドピースに供給できるなかなかの性能のフィルタレギュレータです。
画像は日東工器のハイカプラプラグ。フィルタレギュレータの入力側の接続にこれを用いることで、接続部がハイカプラ規格のエアホースをつなげることができるようになります。
まずフィルタレギュレータに圧力計を組み付けます。シールテープが使いにくい部分であったため圧力計の接続部にシーラントを塗布してからねじ込むことにしました。
今回はフィルタレギュレータの右側を入力、左側を出力として組むので、空気の流れる方向を意味する三角が左側を向いている方を表として圧力計を取り付けます。
フィルタレギュレータを取り付けた側の反対側の取り付け穴をフィルタレギュレータ付属の六角穴付プラグで封をします。この六角穴付プラグもシールテープを使いにくい部分なので、フィルタレギュレータ本体にネジ山二つ分ほど締めつけた状態で接続部にシーラントを塗布してからねじ込みます。ねじ込んだことではみ出たシーラントは拭き取ります。
フィルタレギュレータの入力側と出力側にはめられているキャップをはずし、入力側にハイカプラプラグを、出力側に付属品のPT1/8オス×PT1/4オスニップルをシーリングして接続します。
出力側は本来はPF1/8オスの方が望ましいですが、多くの場合、PT1/8オスはPF1/8メスに問題なしに接続できます。
画像はWAVEのエアブラシハンガーHG付属のテーブルクランプにブラケットをネジ止めし、それにフィルタレギュレータを固定した状態。フィルタレギュレータとコンプレッサはハイカプラ規格のエアホースで接続し、フィルタレギュレータとハンドピースはPF1/8ネジ(Sネジ)のスパイラルエアホース(STRAIGHTで販売しているもの。個別に買うと意外と高くつくLS変換ネジ2個つきで、これとSTRAIGHTのフィルタレギュレータ 1/4 15-188を同時購入すると合計額が3000円を超えるので送料を無料にできます)で接続しています。
フィルタレギュレータの机への固定は付属のブラケットを使用してもいいのですが、その場合、ブラケットを机にネジ止めする必要があります。
そのようにして机にネジ穴を開けることを避けたい場合、ブラケットをネジ止めできるテーブルクランプを使用する方法があります。
画像で見ての通り、エアブラシハンガーHG付属のテーブルクランプはブラケットをネジ止めできるようになっていますが、エアブラシハンガーHG付属のブラケットは画像のフィルタレギュレータには大きすぎて取り付けできませんし、画像のフィルタレギュレータ付属のブラケットは取り付け穴の幅の問題からエアブラシハンガーHG付属のテーブルクランプに安定した取り付けができません。そこで妙徳のフィルタレギュレータ用取付ブラケットB220を組み付け、それにフィルタレギュレータを固定しています。
画像のフィルタレギュレータのパネルカット寸法は30mmで、B220の取り付け穴の寸法は直径33.5mmでB220の取り付け穴が少し大きすぎるのですが、フィルタレギュレータのパネルナットの直径は下回っているので取り付けは可能というわけです。
このようにしてフィルタレギュレータとコンプレッサを距離を置いて接続する際、コンプレッサとレギュレータの接続に長いエアホースを使うことで、エアホースをエアタンク代わりにしてエアタンクの無い圧力スイッチ付きコンプレッサの圧力スイッチ動作回数を減らすこともできます。
また、長いエアホースの使用には水取りをより確実にする効果もあります。
蒸発速度と凝結速度が釣り合う点が飽和水蒸気圧であり、空気が圧縮されるとそれにより飽和水蒸気圧を超えた分の空気中の水分が液体の水となるわけですが、圧縮直後の空気は凝結速度的に飽和水蒸気圧を超えた分の水分が液体の水になりきれていません。そのため、フィルタで効果的に水取りするには圧縮空気中の水分の凝結に必要な時間を経由する必要があります。コンプレッサとフィルタレギュレータの接続に長いエアホースを使えば、圧縮空気中の水分が凝結するのに必要な時間を得ることができますし、凝結に必要な衝突対象も大面積で得ることができ、効果的に圧縮空気中の水分を凝結させることができます。
ハイカプラソケット接続のコンプレッサをPF1/8ネジのエアホースにつなぎたい場合、ハイカプラプラグとLS変換ネジを組み合わせたものを一つ作っておくと便利です。
画像はハイカプラプラグとLS変換ネジです。
画像はハイカプラプラグのPT1/4オネジにシールテープを巻いてLS変換ネジのL側にねじ込んだもの。
ハイカプラプラグとLS変換ネジを組み合わせたものをハイカプラソケットに差し込むことで、接続をPF1/8オネジへ変換でき、PF1/8ネジ(Sネジ)のエアホースを接続できるようになります。