旅客機模型の特徴

メインスケールは1/200と1/144

 旅客機模型のメインスケールはプラモデルでは1/200と1/144で、日本国内で入手しやすいのはほぼハセガワだけが製品展開している1/200スケールのもの。(童友社など他社も製品展開してないことはないですが、その種類は僅か)
 1/144スケールは国際的には一般的な縮尺で、ハセガワや童友社の他、レベルやミニクラフトなど各社からそれなりに製品展開されていますが、国内での入手性は低め。
 縮尺の種類は他にもありますが、旅客機は中型機でも全長や全幅が50m前後あるので1/100スケールでもかなりの大サイズキットとなりますし、中型機や大型機が十数cmのコレクションサイズとなる1/400スケールのような縮尺では小型機は小さくなりすぎるでしょうから、塗装ではなく機体の種類を揃えるなら1/200と1/144は旅客機模型における妥当な縮尺でしょう。

一部の新型機を除いて殆どの製品が凸モールド

 旅客機模型は、旅客機自体の機種の世代交代が数十年スパンであることと、旅客機模型の市場規模的に戦闘機模型のような新金型製品への世代交代が殆どありえないことから、数十年前の凸モールドの金型の製品が殆どそのままで販売され続けています。
 ハセガワの1/200スケールキットであれば、モールドが凹になったのはボーイング機であればB777以降で、それ以前のキットは凸モールド。つまり、B747やB767といったよく知られている機種のキットが凸モールドとなっています。
 1/200という縮尺は0.1mmの幅で筋彫りしても「実物には20mmの隙間が開いているというのか」となり、勿論そんなことはないわけで、凸モールドを彫り直すことなく削り落としてしまっても問題ない縮尺とは思います。そのようにモールドを彫り直さないのであれば、製作の手間における凹モールドキットと凸モールドキットとの差は小さいものになるわけですが、もし凹モールドに彫り直すのであれば凸モールドのキットは相応の手間が必要なキットとなります。

ハセガワ1/200スケールキットなど、基本的に部品点数が少なく、組み立ては容易

 ハセガワ1/200スケールキットのような旅客機模型はコクピット内部が省略されていることや、胴体と主翼と尾翼とエンジンポッドがそれぞれ数個の部品で構成されていて、細かい部品は降着装置ぐらいであることから、その部品点数は非常に限られたもので、パーツの合いさえ良ければその組み立て自体は容易です。

キット化されている機体の種類は少ない

 他ジャンルと比較しての旅客機模型の特徴としては、プラモデルとしてキット化されている機体の種類が少ないことが挙げられます。
 ハセガワの1/200スケールの定番モデルであればB737-500、B737-700、B737-800、B747-400、B767-300、B777-200、B777-300、B787-8、A300、A320、DC-10-40、MD-90と、胴体延長型のようなサブタイプを含めても12種類。これにC-1やC130といった輸送機やL-1011やMD-11のような定番外を含めても数種類増える程度でしかありません。
 これは軍用機や戦車や自動車の模型とは比較にならないくらい少ない種類といえるでしょう。
 旅客機の種類自体が軍用機や戦車や自動車などと比べて少ないことと、その中で大手航空会社で採用されていて空港で見かける機会が多いものはなお限られていることを考えれば仕方がないことですが、旅客機模型は市販キットで様々な種類の機体を並べるといったことには不向きなジャンルです。

航空会社ごとのデカール替えキットや別売デカールの種類は豊富

 旅客機模型はキット化されている機体の種類は少ない一方で、航空会社ごとのデカール替えキットや別売デカールの種類はそれなりに豊富です。
 ハセガワはルフトハンザやアメリカン航空などのデカール替えキットを時折販売しますし、PLATZやDRAWなどは様々な航空会社の機体に対応したデカールを販売しています。
 ただ、これらの製品は大抵少量生産で入手性が低く、長期品切れや絶版になることも多いので、買いたいときに買うということは難しいでしょう。

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