模型撮影におけるデジタルカメラ選び

 以下は模型を撮影する際にどういうデジカメを買えばいいのかについての自分なりの意見です。

センサーサイズ

 デジタルカメラ(以降、デジカメ)の性能はセンサーサイズの大きさにかなり比例します。
 ダイナミックレンジ(明暗差による白とびや黒潰れのし難さ)や解像力や高感度耐性(高感度でのノイズの出難さ)といったデジカメの性能は、センサーの面積を画素数で割った値、つまりセンサー一画素あたりの受光面積の大きさにかなり依存するからです。
 現時点(2013年)ではAPS-Cサイズ以上のセンサーとそれに満たないセンサーのデジカメでは等倍画像で見るとノイズにおいても解像力においても格段の差があります。
 デジカメでよく売れている商品はというと現在は3〜4万円くらいのハイエンドコンパクトのようですが、どうせ3〜4万円を出すなら(携帯性は犠牲になるものの)画質における費用対効果的には同価格帯のAPS-Cサイズセンサーデジタル一眼カメラレンズキットを買った方がよいと思います。

画素数

 PCのモニターの画素数は1920*1080で2073600。つまり、およそ207万画素です。
 仮に縦横比4:3のセンサーのデジカメでレンズ性能的に撮影画像中心部1/4くらいの面積だけを使うとしても、1920*1440*4 = 11059200で(1440 = 1920/4*3)、およそ1106万画素もあればPCで見るために使うには十分な性能があることになります。
 つまり、大判で印刷するとかではなく、PCでの閲覧に使う分にはデジカメの性能は1200万画素クラスもあれば足りるということになります。
 もちろん、これはデジカメの画像が等倍観賞に耐えるものであることが前提で、ノイズなどのために縮小しなければ見れる画像にならないようなカメラの場合は条件は異なりますが。

レンズ性能

 模型を撮影するのに使用するデジカメは最短撮影距離が短くマクロ撮影が可能なレンズ、マクロレンズでなくてもせめて撮影倍率が0.3倍を超えるようなレンズを装備していることは必須だと思います。
 模型の撮影は概ね小さなものを寄って撮影できることを求められますから。
 レンズの焦点距離については概算とはなりますが、APSサイズのイメージセンサーで20cm(=0.2m)サイズの被写体を撮影する場合、被写体との距離が0.3mなら焦点距離35mmクラス(フルサイズ換算50mmクラス)、被写体との距離が1mなら焦点距離100mmクラス(フルサイズ換算150mmクラス)が必要で、対象のサイズの大小や室内で実際にとれる撮影距離を考えると、フルサイズ換算50mmクラスのマクロ撮影が可能なレンズが便利ではないかと思います。

専門サイトでレンズ性能を調べ使用条件を考える

市販されているレンズの中には専門サイトにより調査された性能が公表されているものもあります。
例えば、Pentax SMC DA 35mm f/2.8 Limited macroであれば下記サイトでその性能を知ることができます。

Pentax SMC DA 35mm f/2.8 Limited macro - Review / Test Report - Analysis

 Distortionsは歪曲収差で、-0.414%という値はこのレンズには少ないですが樽型の歪曲収差があることを示しています。
 Vignettingは口径食とも訳されますが、概ね周辺光量落ち(optical vignetting)を意味し、値が大きいほど周辺光量落ちが激しいこと、つまり、画像の中心と端の明度差が激しいことを意味します。このレンズの場合はF値(絞り値)が2.8(このレンズの絞り開放)のときにおよそ0.75EV程度の周辺光量落ちが発生するので、それを避けたいなら絞り値を上げて撮影した方がいいということになります。模型を撮影する場合は被写界深度を稼ぐために絞ることが多いのでこれは問題にはならないでしょう。
 MTF50 in LW/PWは、sharpness 50%、つまり半分ぼやけている状態で水平に何本の線(Line Widths per Picture Width)を描けるかという数値で、値が大きいほど解像力が高いと考えて問題ありません。
 このレンズの場合は、F11までvery goodでF16でgood。しかし、F22では中心部はgoodに近いfairでも周辺部がpoorとなってしまいます。つまり、中心部だけを使うならともかくF22まで絞っての使用はお勧めできないということになります。
 Chromatic Aberrations (CAs)は色収差で、この値は高いほど色収差が大きい、つまり状態が悪いということになります。このレンズの場合はF値を上げれば上げるほど色収差が悪化しているので、やはり絞りすぎてはいけないということになります。
 以上のことからこのレンズは絞るのはF11までにとどめて使った方がよいだろうということがレンズの性能的には読み取れるというわけです。

 シグマ AF 30mm f/1.4 EX DCは結構人気があるレンズだったりしますが、その性能は
Sigma AF 30mm f/1.4 EX DC (Pentax K) Review / Test Report - Analysis
を見る限り、歪曲収差にしても周辺光量落ちにしてもあまり良いとはいえないもので全般的な光学性能は高いと言えるものではありません。しかし、画像中心部分の解像力は極めて高く、画像中心部分に関してだけはいい描写をするだろうことも性能から読み取れるわけで、熱心な支持者がいる理由もその辺りを考えれば理解できなくもありません。
 性能的にはF4前後に絞ったときが最も解像し、周辺部の解像力を考えるとF1.4は夜間撮影など光量が得られない場合などを除き使わない方がよいだろうと思われます。
 最短撮影距離も長く、寄れないレンズであることから模型の撮影には向かないレンズですが、レンズの性質を把握した上で風景撮影などで目的を絞って使用する分には活きる場所もあるレンズだとは思います。

値段が3〜4万円でセンサーサイズがAPS-C以上のカメラの実例

2013年3月時点

ペンタックスK-01  2013年3月時点で値段が3〜4万円でセンサーサイズがAPS-C以上のカメラといえば、私はペンタックスK-01のズームレンズキットをお勧めします。価格ですが、一時期は底値から値上がりしていたものの、ここにきて急に値下がりしていて白黒モデルは3万円をきっている場合もあります。画像のカメラはK-01の白黒モデルに標準ズームを取りつけたものです。(フィルター、レンズフードは別売)
 買っていないものをお勧めするのもなんなので、実際に購入しました。私個人はペンタックスK-30と35mmマクロを持っているので必要性は低かったのですが。
 K-01は解像力が高く、歪曲収差の補正などの画像処理も高速で、高級一眼デジカメに匹敵する画像を出し、撮影できる画像に関する価格性能比は3〜4万円で購入できるのであれば現時点では一番だと思います。
 ズームレンズキット付属の標準ズームは撮影倍率も0.3倍を超えていてなんちゃってマクロレベルの撮影が可能ですし、低価格レンズキットのレンズにしては良い描写力を持っています。ワイ端(焦点距離18mm)ではそれなりに樽型歪曲収差がでますが、純正なのでカメラ側の歪曲収差補正機能で補正できますし、K-01はその処理を高速で行えます。(そういう部分ではペンタックスK-5を上回っていたりします)
 オートフォーカスは遅くて動体撮影には向きませんし、そのサイズから携帯性も低いですが、解像力、ダイナミックレンジ、ノイズの少なさから模型のような静物の撮影をする用途には同価格帯のコンデジを遥かに上回るカメラと言えると思います。

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