ブラックライトの紫外線による光硬化型素材の反応促進について実験してみました。
今回使用したのは以下の画像のもの。
画像右よりダイソーのマジックライトペン、サウスウォーカーのLEDブラックライト、武蔵ホルトのノーミックス、タミヤの光硬化パテ。
マジックライトペンは紫外線LEDライト付きの蛍光インクペン。
本来の用途はペン部分の蛍光インクで書いたものをライト部分の紫外線LEDの光で発光させるというもの。
今回の作業的に必要なのはライト部分のみ。
ダイソーにて購入。ライト扱いではなく筆記具扱いなので筆記具売り場にありました。
サウスウォーカーのLEDブラックライト、武蔵ホルトのノーミックスは通信販売にて購入。
タミヤの光硬化パテはかなり前に店頭にて購入したもの。購入してからかなりの年数が経っているのにまだ使用可能という保存性の良さはさすがと言うしかありません。
まずはタミヤの光硬化パテから実験開始。
タミヤの光硬化パテは太陽光や蛍光灯の光で硬化するタイプのパテ。パテの色は黄色。
メイクアップ材シリーズNo.76 タミヤ光硬化パテによると紫外線ではなく可視光線で硬化するとなっていますが、紫外線LEDの光で硬化するのでブラックライトによる硬化促進は実用上の問題は無し。
光硬化パテをプラ板の上にヘラで延ばしてからマジックライトペンで照射。
紫外線照射装置〜!
5秒程度で硬化。
硬化後に剥がしてみたところ。
大部分は完全に硬化していますが、パテの盛りが厚かった部分は未硬化のままプラ板にへばりついています。説明書に一度に盛っていい厚さは2mmまでとある通り、光硬化パテは厚く盛ると表面だけ硬化して内側は硬化しないことになることが確認できます。
今度は光硬化パテにサウスウォーカーのLEDブラックライトを照射。
これも5秒程度で硬化。
硬化後に剥がしてみたところ。
大部分は完全に硬化していますが、やはりパテの盛りが厚かった部分は未硬化のままプラ板にへばりついています。
次は武蔵ホルトのノーミックスでの実験。
ノーミックスは太陽光などの紫外線で硬化するタイプの一液式ポリエステルパテです。パテの色は灰白色。
ノーミックスをプラ板の上にヘラで延ばしてからマジックライトペンで照射。
30秒程度照射しても硬化しなかったので実験を中止しました。
ノーミックスはマジックライトペンの光では硬化しないか、硬化するとしてもかなりの時間がかかるようです。
今度はノーミックスにサウスウォーカーのLEDブラックライトを照射。
途中、照射と並行してデザインナイフで突つくことにより硬化の程度を確認していたのですが、30秒程度の照射でようやく硬化。太陽光よりは硬化時間を短縮できるのは確かなものの結構時間がかかるという印象。
硬化後に剥がしてみたところ。
光硬化パテと異なり、ノーミックスはパテの盛りが厚かった部分も硬化しています。
説明書に一度に盛っていい厚さは5mmまでとある通り、内部まで硬化する範囲は光硬化パテよりは大きいようです。
光硬化パテは硬化後は弾性がほとんど無く、少し曲げただけでも折れます。
ノーミックスは硬化後もやや弾性が有り、ある程度曲げても折れません。
工作の際、こういう弾性にはメリットもデメリットもあるわけですが、傷を埋めてきっちり平面を出すような場合には弾性でたわむことがない光硬化パテの方が適しているでしょうし、肉抜き穴をパテで埋めた後に硬化したパテを剥がして工作するような場合には曲がることによる破損しにくさからノーミックスの方が適しているでしょう。
硬化後の切削性については両方とも硬さ的には問題はありませんでした。
傷やヒケを埋める際の作業性向上目的ならタミヤの光硬化パテは有効。そういう目的であればノーミックスは不要。
タミヤの光硬化パテを用いる分には使用するブラックライトはダイソーのマジックライトペンで十分。サウスウォーカーのLEDブラックライトまでの性能は不要。
サウスウォーカーのLEDブラックライトが安い型でも1000円近くするのに対し、ダイソーのマジックライトペンなら税込みで105円。この価格差は大きいというものです。
しかし、武蔵ホルトのノーミックスのようにマジックライトペンクラスの紫外線LEDでは硬化しにくい素材を使用するならば、サウスウォーカーのLEDブラックライトクラス以上のブラックライトを揃えておいた方が便利でしょう。硬化時間を短縮できるだけでなく、夜間作業でも使いやすくなりますし。
武蔵ホルトのノーミックスの欠点は光硬化パテに比べての硬化時間。拘束時間としての30秒は結構長く感じます。まあ、そのように拘束されたくないのなら日照時に15分程度放置しとけばいいのでしょうが。あるいはスタンドを自作するなどしてハンズフリーで照射できるようにするとか。
メリットは、一度に盛っていい厚さが2mmまでの光硬化パテに対して一度に盛っていい厚さが5mmまであることと、グラム単価がタミヤ光硬化パテの三割程度と安価なこと。(タミヤの光硬化パテが34gで定価1200円なのに対し武蔵ホルトのノーミックスは100gで定価1000円)
特に一度に盛っていい厚さが5mmまでというのは光硬化パテに比べてかなりの長所で、ガンプラの腰アーマー裏側などの数ミリの深さの肉抜き穴を埋めるような工作にはかなり適しているといえるでしょう。
ただ、ちょっとした傷やヒケを埋める分にはタミヤの光硬化パテは十分な性能を持っていますし、硬化時間的にもノーミックスに勝っています。肉抜き穴を埋める方法にしても、プラ板で埋める方法だって、数分で硬化するようなタイプのエポキシパテを使用する方法だってあるわけで、その手の工作にノーミックスが必須かといえばそうではないというものでしょう。せいぜい選択肢が一つ増えたといったところ。まあ、プラ板を切り出す時間やエポパテをこねる時間を考えれば作業時間の短縮は可能というものでしょうが。