エアテックスのPEACE3はノズル口径0.3mmのエアブラシ用ハンドピースですが、これをエアテックスが販売している部品を使用してノズル口径0.2mm化しました。
使用した部品はエアテックスのPXP3Aノズル0.2mmとPXP11Aニードル0.2mm。
XP729、XP723、MJ728、MJ722といったエアテックス製ノズル口径0.2mmハンドピース用の交換部品です。
PEACE3はXPシリーズやMJシリーズではないものの、ノズルを含む各部のネジ規格はそれらの製品と同一でニードル直径も1.2mmと同一なので、それらの製品用の部品を流用できます。
今回はノズルとニードルをセットで交換しましたが、もとからPEACE3に付いているニードルとPXP11Aの差(表として後記)の少なさを考えると交換する部品はノズルだけでも良いだろうと思います。
画像は交換作業中のPEACE3。
ニードル固定ネジを緩めてニードルを抜き、ニードルキャップとノズルキャップを取り外してノズルを露出させてから、ハンドピース付属のノズルレンチでノズルを緩めてPXP3Aに交換します。
PEACE3のノズルにはOリングがついておらず、シール剤を塗布してエア漏れを防ぐようになっていますが、PXP3AにはOリングがついているので、そのまま取り付けが可能です。
ハンドピースはノズルキャップを取り付けた際にノズルの先端がノズルキャップより突き出ていないとエアが逆流して塗料を吹けつけることができませんが、PXP3AはPEACE3のノズルより微妙に長いくらいで、ノズルキャップはそのままで使用可能でした。
ノズルは柔らかい金属でできていますので、締めつける際はネジ山を潰さないように締め付け過ぎに注意が必要です。
ノズル交換したPEACE3の動作確認と他のハンドピースとの性能差確認を含めてA4の紙に塗装することで試験してみました。
ニードルキャップを付けたままでのものなので、それを外せばもう少し細い線を描けただろうとは思いますが、あまり試したい方法ではないのでパス。
画像左から通常状態のPEACE3、HD-470(ノズル口径0.2mm)、HD-130ノズル口径0.2mm型、ノズル口径0.2mm化改造したPEACE3。
これらの中ではノズル口径0.2mm化改造したPEACE3が最も細い線(0.3〜0.4mm程度)が描けていて、HD-130ノズル口径0.2mm型、HD-470が僅かな差で続き、通常状態のPEACE3はノズル口径0.3mmなこともあってかあまり細い線は描けませんでした(0.8mm足らず程度の太さ)。
こうして比較するとHD-130ノズル口径0.2mm型は細く吹く性能はノズル口径0.2mm化改造したPEACE3に劣るとはいえ、その値段(購入価格2300円)を考えれば相当使えるハンドピースだと思います。
私が購入したPEACE3は、ハズレにあたったのか、吹き始めに塗料をスパッタリング状態にとばしてしまう不具合がありました。
これはニードルとノズルの形状が合っていないためにニードルを引いていない状態でもニードルとノズルの隙間から微妙に塗料が漏れ出してしまい、その漏れ出た塗料が吹き始めに飛び散らされるためにおきる現象と思われます。ニードルとノズルのいずれか、または両方がきちんと円錐形状になっていなかったのでしょう。
おそらくはノズルの方に問題があったのでしょうが、このように吹き始めに塗料をスパッタリング状態でとばしてしまう不具合があると、そのハンドピースはグラデーション塗装や吹き付け角を利用した塗り分けといった塗装に適さないことになります。
ノズル口径0.2mm化をすれば細吹き性能を向上できる他、ノズル交換をすればこの不具合を解消できるのではとも思い、この改造を試みたのですが、PXP3Aへのノズル交換は実際にこういう不具合を解消することができました。
この改造はHD-130系ハンドピースにもそのまま適用できるので、HD-130で同様の不具合があった場合の解決策として用いることもできます。
製品 | ニードル長 | テーパー長 |
---|---|---|
PXP11A (0.2mm) | 12.7cm | 1.3cm |
PEACE3 (0.3mm) | 12.8cm | 1.2cm |
130 (0.3mm) | 13.0cm | 1.2cm |
HD-130 No.302 (0.3mm) | 13.0cm | 1.4cm |
HD-130 No.302 (0.2mm) | 13.0cm | 1.3cm |
HD-470 (0.2mm) | 12.9cm | 1.2cm |
タミヤ (0.2mm) | 13.0cm | 1.4cm |
タミヤ (0.3mm) | 13.0cm | 1.2cm |
手元にあるハンドピースのニードルについてニードル直径が同じ1.2mm(1.2φ)であるものについて計測してみました。GSIのハンドピース(PS267等)のニードル直径は1.4φ(直径1.4mm)であるために計測対象外としました。
この表におけるニードル長はニードル全体の長さ、テーパー長はニードル先端の円錐状に研磨されている部分の長さを指す言葉として使用しています。
物差しで大雑把に測ったものなのでニードル長・テーパー長ともに±0.5mm程度の誤差はあるものとして参考値とした方が良い値ですが、表に挙げたニードルは概ねニードル長13.0cm程度でテーパー長1.2〜1.4cm程度であり、相互に交換しても使用可能と思われます。
同ノズル口径のHD-130系製品でもものによってニードル長やテーパー長に差があることを奇妙に思うのですが、これが各々の製品仕様による違いなのか加工精度によるばらつきなのかは分かりません。
この中で日本国内で購入しやすいのはPXP11A、PEACE3用ニードル、タミヤ用ニードルですが、交換用部品に用いるならその中ではタミヤのノズル口径0.2mm用のニードルを私個人はお勧めします。
ノズルだけを交換するとしても本体費用とノズル費用の合計を考えればHD-130のノズル口径0.2mm型を最初から買った方がいいと思いますが、既に本体を購入していてそれの性能向上や不具合解消のために行うのであれば十分に行う価値のある改造と思います。