プラモデルは主な部品がプラスチックで構成された工業製品です。
製品としては未完成品であり、完成品を作るための部品と説明書で構成されており、完成品を作るための組立作業は消費者の方が負います。
需要と供給の影響はもちろん受けますが、労力などの組み立てに必要なコストを消費者が負担する分、一般にプラモデルは完成品玩具より内容のわりに安くなる傾向があります。
プラモデルという言葉はプラスチックモデルの略語ですが、同時に日本プラスチックモデル工業協同組合の登録商標でもあります。
主要な部品がプラスチックで構成されている模型、ゆえにプラスチックモデル。
プラモデルという言葉の商標権は当初マルサン(日本で最初にプラモデルを販売したメーカー)が所有していましたが、1975年より日本プラスチックモデル工業協同組合が所有するようになりました。これにより国内のメーカーは自社の製品にプラモデルという言葉を自由に使えるようになりました。
因みにプラモデルを示すもう一つの略語であるプラモは未だマルサンの登録商標です。
参考リンク:プラモデル業界の歴史
人には自分の嗜好に合うものを認識したとき、それ自体もしくはその形を模したものを手に入れたいというプリミティブな感情があるようです。
模型はその感情を満たす手段の一つです。
また、人は実用として模型を必要とすることもあります。
あるときは実物を作る際の試験のための縮小として、またあるときは空戦機動の概念説明や目視機種確認の多角的情報といったような立体的な情報を得る教材として。
模型は試験や演習といった実用においても有効な手段の一つでもあるのです。
そして造形は模型を得るための手段の一つです。
模型を手に入れることを目的とする場合、造形は購入と同じく手段の一つに過ぎません。
実際問題、完成品が内容に見合う価格ならば、購入した方が手っ取り早いというものでしょう。
しかし、人には、個人差が大きいものの、自らの手を動かしてものを作り出すこと自体に喜びを感じる心があります。
人は作ること自体に楽しみを感じることができるのです。
加えて、人は自らの技量の成長自体にもまた楽しみを感じることができます。
そして、そういった作る楽しみを知るものにとっては造形自体が目的となるのです。
望みの形状を素材から作り出すのには、それ相応の技量が必要です。
高い技量を得るためには鍛錬が必要ですし、誰もがそのような技量を持つわけではありません。
では、誰もが望みの模型を手に入れるためにはどうすればいいでしょうか?
複製の大量生産はその答えの一つです。
複雑な形状を素材から作り出すのには高い技量が必要ですが、複雑な形状の部品を組み合わせるだけならば誰にでも手軽にできます。
ならば、複雑な形状に成型できる素材で大量生産に適したものは?
プラスチックはその条件に適し、尚且つ安価です。
プラモデルは人に簡易かつ安価に造形することを容易とする、造形の大衆化の一つの形なのです。
一般に、プラモデルは商品内容について記載された外箱の中に組立に必要なものが入っているという形態で模型専門店及び玩具店などで販売されています。
一般にプラモデルは、上の画像のような箱詰めの形で販売されます。
画像はタミヤの1/48ティーガー戦車初期型。
箱の中には各種部品や説明書などが詰められています。
上の画像は、箱の中に入っているパーツ(部品)の一部です。
製品状態では未完成品であるプラモデルは、こういったパーツを消費者が組み立て塗装することにより完成品となります。
プラモデルは一般にスチロール樹脂パーツ、ABS樹脂バーツ、ポリパーツといったプラスチックパーツで構成されています。
しかし、ものによっては再現性などを上げるためにレジンパーツや金属パーツといったパーツと組み合わせられている場合もあり、その場合、プラスチックに対するのとは異なる、素材に合わせた特別な処理が組み立てに必要となることがあります。
上の画像は説明書。模型化された実物に対する説明、プラモデルの組み立て手順や 塗装に使う塗料と塗装図といった組み立てに必要な情報、各種注意書きなどが記載されています。
上の画像はデカール。部隊番号や細かい機体の注意書きなど、手描きなどの塗装では難しかったり時間がかかったりするマークを、台紙のニス上に印刷されたマークを貼るだけで再現できるようにしたもの。デカールは糊を水で溶かして台紙から剥がして模型に貼り付ける型のマークですが、マークには他に、扱いは簡単ながら厚みがあり曲面に馴染み難いシールや、圧着させることでマークを転写するインレタ(ドライデカール)などもあります。
近年のプラモデルには無いですが、一昔前のプラモデルにはチューブ入りの接着剤が同梱されていることもありました。
この記事を書くにあたって、だいたい以下の文に近いことがあったそうな。
テレビのコマーシャルを見て少女はぽつりと言った。
「なーに、プラモデルって」
それを聞いたとき、サイコロスケはあまりの衝撃に身を蹌踉(よろ)めかせた。
意識が遠のく。
その中で彼は幻想を見た。
怒涛に飲み込まれる自らの姿。
ああ、潮なりの音が聞こえる。
潮なりと共に聞こえる会話は何だろう…
「わしらの小さいころはよくプラモデルで遊んだものじゃ」
「おじいちゃん、プラモデルって何ー」
「最近の子はプラモデルも知らんのか」
何故か入る女性のナレーション。
「数十年後の私達は孫にこんな話をしているかもしれません…」
彼は倒れる前に意識を取り戻した。
ダン!と地面を踏んで姿勢を立て直す。
「いかん!このままではいかん!ストップ・プラモデル消滅。そもそも、数十年後どころか今!知らない人がここに!ってゆーか、小さいころというより、いい年になっても遊んでるし…」
つくづくサイコロスケとは痛い男であった。
そして、彼が熱心に説明すればするほど少女の視線は冷たくなっていくのであった。
とかなんとか。
衝撃だったのは事実ですが、幻想部分はフィクションです。
実際は、視線は冷たくなかったし表面的には感心していたのですが、内心はどうだか。(ひねくれ者)
まあ、かつてのソリッドモデルのように、時代とともにプラモデルが滅んでも模型は滅びないでしょうね。