スチロール樹脂などプラモデルの素材の多くは収縮するために成形の過程でパーツが変形してしまいます。
特にパーツの肉厚が厚い場合に変形は顕著になります。それを防ぐために、プラモデルでは多くの場合、パーツの裏側などに肉厚を薄くするための肉抜き穴が設けられます。
肉抜き穴は目立つ箇所にあると模型の見栄えを損ないますので、ここではその肉抜き穴を埋めるための基本的な技術を紹介します。
肉抜き穴を埋める方法は大きく分けて三種類あります。
それぞれに向き不向きがあります。
基本的に、これらの方法を状況にあわせて組み合わせたり、グラスチューブやアクセサリーパーツなど市販のパーツを使って装飾することにより肉抜き穴を埋めていきます。
これらについて以下で順に説明します。
画像のように肉抜き穴にはまる形状に切り出したプラ板を接着することで埋めます。
中空構造にして重量を軽く作れるのがメリットです。デメリットは肉抜き穴の形状によってはプラ板などを切り出すのが面倒なこと。
深い肉抜き穴を埋める際はプラ板がパーツ内部に落ち込まないように、画像で赤で示したようにプラ板の切れ端をストッパーとしてパーツ内部に貼っておくといいでしょう。
ポリパテなど流動性のある素材を盛りつけることで埋めます。
メリットはポリパテは一般的にエポパテに比べて安いこと。デメリットは重量が重くなりやすいこと。
大まかに盛りつけて硬化後に余分を削り落としてもいいのですが、埋める箇所が平面の場合、プラ板などで蓋をして平面に均してやることで労力を減らすことができます。
まず、埋めるための準備を行います。
この場合、埋めるパーツはダボが突き出しているので、ダボの径にあわせた穴を開けたプラ板をポリパテ盛りつけ後の蓋として用意します。
埋めるパーツの方に離型剤としてメンソレータムなどを塗っておくと、硬化後に一端肉抜き穴から剥がして加工したい際などに剥がしやすくなります。(塗らなくても剥がせます)
ポリパテを盛りつけます。
プラ板で蓋をすることで余分なパテを取り除きます。
硬化後にプラ板を剥がせばこの通り。
エポパテなど粘土状の素材を盛りつけることで埋めます。
メリットは粘土状の素材は硬化するまでに色々と加工できること。デメリットは重量が重くなりやすいこと。
硬化時間を待つ間に加工できることのメリットは非常に大きく、水やメンソレータムなどを離型剤にして適当なプラ板などをヘラ代わりに加工すれば簡単に平面を出すこともできます。
画像のようなパーツはポリパテなど流動性の高い素材で埋める場合、上記の方法で平面を出すにはプラ板を適切なサイズに複数枚切り出して蓋をしなければなりませんが、粘土状の素材であればヘラ一本でそれなりに仕上げられます。
エポパテやポリパテで埋めた部分は、肉抜き穴に逆テーパーでもついていない限り、硬化後に剥がすことができます。
エポパテやポリパテはもとよりプラスチックに対してそれほど強固に貼りついているわけではないので、パーツとパテの境目をきちんと処理したい場合、境目に瞬着などを流し込んできっちりと接着した方がいいでしょう。
同じキットを複数個製作する場合、肉抜き穴を埋めた箇所に様々な加工を行ったりしているのならば、このように剥がした部分をキャストコピーなどして利用すると労力を省くことができます。