エアブラシ・ハンドピースの選択基準

 初めてエアブラシのハンドピースを購入される方には、どのようなハンドピースを選んだらいいか選択基準が判らない人も多いと思います。
 そこで、ここにはハンドピースを選択する際の参考規準としてハンドピースの方式とそのメリット・デメリットについて記述します。

方式による違いと特徴

注意:安価ですが、精度の低いボトムカップ吸い上げ式は私が所持していないこともあり省いています。

操作法式

ボタン式シングルアクション ボタン式シングルアクション  ボタンの押し込みによりエア圧を、ダイアルにより塗料吹き付け量の調整を行います。吹き付け作業中は基本的にエア圧しか操作できません。
ボタン式ダブルアクション ボタン式ダブルアクション  ボタンの押し込みによりエア圧を、ボタンの引き具合により塗料吹き付け量の調整を行います。エア圧と塗料吹き付け量を吹き付け作業中に別々に操作できるので、細やかな操作が可能です。
トリガ式ダブルアクション トリガ式ダブルアクション  トリガを引くことでエア圧と塗料の吹き付け量を同時に操作します。エア圧に対する塗料吹き付け量の関係はダイアルで調整します。

ノズル径

小口径  ここでは便宜的にノズル径0.2ミリ以下のハンドピースをこう呼びます。塗料吹きつけ量とエア圧を絞った細やかな塗装を高精度で行うことができますが、その反面、時間あたりの吹きつけられる塗料が少ないことから大面積塗装においての作業効率は悪くなります。また、金属色など顔料粒子の大きい塗料の塗装においてノズルが詰まりやすいのも欠点です。
中口径  ここでは便宜的にノズル径0.3ミリのハンドピースをこう呼びます。細やかな塗装も大面積の塗装もそれなりに高いレベルでこなせるので、一本のハンドピースで色々な作業を行うのには向いています。その反面、細やかな塗装においての精度は小口径のものに、大面積塗装における作業効率は大口径のものに劣ります。
大口径  ここでは便宜的にノズル径0.4ミリ以上のハンドピースをこう呼びます。時間あたりの吹きつけ可能な塗料の量が多く、大面積塗装に向いています。また、詰まりにくいことから金属色やサーフェーサーの塗装にもむいています。その反面、グラデーション塗装や吹きつけ角を利用したマスキングを省略しての塗り分けなど細やかな塗装には不向きです。

カップ取り付け方式

取り外し型 取り外し型 取り外し型のメリットは、品によってはより大容量のカップに交換可能であること、横に取りつけるタイプであれば塗料カップの角度が自由に変更できることです。デメリットは構造上カップから本体内部までの構造が狭く、それにより内部の洗浄がし難いことです。
一体型 一体型 一体型のメリットはカップと本体が一体であることからカップから本体内部までの構造が広く、それにより内部の洗浄がし易いことです。

ハンドピースの選び方

 用途に合わせて選びます。以上。
 などと書くとここを書いている意味が無いので参考までに、現在の私なりの選択基準を書きます。

 まず操作法式。私としてはボタン式のダブルアクションをお勧めします。
 エア圧と塗料吹きつけ量の調整を塗装しながら別々に自由自在に行えるということは、グラデーション塗装などにおいて非常に大きい効果を発揮します。調整するのにいちいちダイアル操作をする必要が無いので作業効率も上がります。

 カップの取り付け方式は洗浄性の面から一体型の方が良いでしょう。
 ハンドピースの内部を視認しての洗浄状態の確認がしやすいので、洗浄不足によりハンドピースに残っていた前の色が混ざってしまうという危険性が減ります。構造上、洗浄に必要な溶剤の量も少なくてすみます。
 ハンドピースをうがい洗浄するのならばカップは蓋付きの方がいいでしょう。

 ノズル径についてはハンドピースを二台以上買う予定があるのなら、最初はノズル径0.4ミリ以上の大口径のものを、二台目にノズル径0.2ミリ以下の小口径のものを買うのが良いのではと思います。
 その理由にはここ数年のハンドピース作業におけるスタイルの変化が絡んでいます。
 それは「クレオスが瓶入りのサーフェーサーをリニューアルして発売したことによりサーフェーサーをハンドピース塗装する機会が増えたこと」です。
 以前でしたら最初のハンドピースには汎用性からいって中口径のハンドピースを勧めていたところです。しかし、この変化により、最初に手に入れるハンドピースには、中口径の汎用性より、大口径の「サーフェーサーを安定して吹きつけることができる能力」の方が重要になったのではないかと考えるようになったのです。
 もっとも、これは用途に合わせて複数のハンドピースを購入することを前提にしたものです。ハンドピースの中にはセット品でノズルを小口径から大口径まで自由に交換できるものもあるので(エアテックス社の「エボリューション」など)それを選ぶという選択肢もあります。

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