スピンやすりは、うさPハウスの相田氏により発案された、クレストのスピンブラシを改造した模型製作補助ツールです。
サンディング作業の電動高速化により作業時間の大幅短縮を可能とします。
主にフィギュア系の曲面処理に向いた道具であり、きっちりした平面処理や鋭い先端処理を必要とするメカ系には不向きな面もある道具でしたが、前後往復運動を行うスピンやすりPROの登場により、各種精密作業の他、メカ系への使用にも適した道具に進化しました。
参考リンク:
スピンやすり統合ページ
自作サンディング補助具(芸人サンダーの項も必見)
プラモデルに対する使用例として、キャノピーのパーティングラインを処理してみました。
作業に用いるスピンブラシヘッドとアタッチメント。
右から順に
スピンブラシPROヘッドに芸人サンダーアタッチメントを取り付けた状態。
芸人サンダーアタッチメントに回転クリップで耐水ペーパーを取り付けた上で、アタッチメント固定用の金属線で耐水ペーパを貫通させてスピンブラシPROヘッドに固定。
画像のような形で固定しやすいように、アタッチメント固定用の金属線の向きは一般的な方法と逆にしています。
芸人サンダーアタッチメントのステンレス部分は市販のクッキー型を万力とハンマーで加工したもの。ドリンクの空き缶(スチール缶)でも折り曲げ加工して強度を増せば代用可能でしょう。
芸人サンダーアタッチメント(耐水ペーパー400番)でパーティングラインを削り落としているときの画像。
芸人サンダーアタッチメントを使用して感じたメリットは以下のとおり。
スピンブラシヘッドの回転部分にスポンジ両面テープで耐水ペーパー(1000番)を貼り付けたもので、パーティングラインを削り落とす際にキャノピーにできたやすり傷を水研ぎをしているときの画像。
スポンジ両面テープの効果で曲面にも馴染み、回転運動ゆえに磨きむらも無く、回転部分が30度反転運動しているがゆえにリューターのように面の上を滑っていくこともありません。
スピンブラシヘッドの回転部分に両面テープでコットンバフを貼り付けたもので、キャノピーをコンパウンド(ピカールを使用)磨きして透明にしているときの画像。コットンバフはリューター用のものを13ミリ径ポンチで打ち抜いて使用。
形状と運動方向によるコットンバフと研磨面の接触性といい、磨きむらのなさといい、明らかにリューターより使用しやすいです。
パーティングラインを処理したパーツの画像。研磨前が左、研磨後が右。
スピンブラシは下地処理だけでなく、クリアパーツの透明化や光沢塗装のための中研ぎや研ぎ出しにも非常に便利な道具です。
リューター用のコットンバフの流用などにより、リューターを用いていた作業の多くがスピンやすりで可能となります。
リューター本体が少なくとも数千円することを考えれば、スピンブラシ本体とACアダプター化の材料合計で二千円程度で揃えられるスピンやすりは、模型用の道具としてはリューターより前に揃えるべきものに位置付けられるでしょう。
使用例では使っていませんが、メカ系のキットを作る分に一番多用するのは「プラ板に耐水ペーパーを貼り付けたアタッチメント」です。
合わせ目処理、ゲート処理、平面処理、先端鋭角化処理などがかなり高速化できます。
ただのスピンやすりの頃は主に曲面向けの道具でしたが、スピンやすりPROはかなり精度の高い平面処理や先端処理が可能です。
メカ系を主に作られる方でスピンやすりに対して懐疑的な方は、まずはスピンブラシPROを購入されて試してみるのが良いと思います。お勧めです。