HD-130と130は格安で販売されているエアブラシ用ハンドピースです。
中国製もしくは台湾製でAmazonなら送料込みで2400円前後、ヤフオクならもっと安価に入手可能です。(130もHD-130という販売名で売られていたりすることがありますが、両者の区別のために説明書での名称の方を用います)
同価格帯で同デザインの両者ですが、同一製品ではなく、ネジ規格は同じでも形状は微妙に異なっていました。
HD-130と130はパッケージが異なります。
130のパッケージはエアテックスのPEACE 3(HS-30)のパッケージと同じもので、ボディからノズルまでの部品も同一形状であることから、130とPEACE 3はおそらく同じ工場で作られているのではないかと思われます。
HD-130のパッケージは加工が雑で、130やPEACE 3には付いている内蓋も付いていません。HD-130のハンドピース本体には名称とモデルナンバーがペイントされています。
両者ともノズルレンチとスポイトと内径4〜5mm程度のエアホースにつなぐためのSネジ規格のタケノコが付属しています。
130の方はタケノコがハンドピース本体に取り付けされてパッケージされています。
参考までにHD-130と130とPEACE 3と、それらのハンドピースのコピー元であると思われるXP-725の画像を以下に貼ります。
HD-130と130はぱっと見は同一のハンドピースに見えるのですが各部品で見るとネジ規格は同一なものの形状は微妙に異なります。
以下にHD-130と130と、参考までにXP-725(近年の製品仕様変更でニードルキャップが細口から広口に変更されたもの)のノズル付近の画像を貼りますが、ニードルキャップの形状やカップからノズルまでの距離など、各部の形状が異なり、特にノズルキャップのネジ回し用溝切り部分の幅には顕著な違いが見られることがわかると思います。(HD-130はノズルキャップのネジ回し用溝切り部分の幅が狭い)
これらの形状の違いはHD-130と130がおそらくは別々の工場で作られている別製品であることを示しています。
ノズル径は付属の説明書ではHD-130は0.3mm、130は0.2〜0.3mmと書かれています。
こういうノズル径はあくまでも目安で国産品でもノズル径0.3mmとして販売されているものの実径が0.28mmぐらいだったり、ノズル径0.2mmとして販売されているものの実径が0.26mmぐらいだったりと、実径と異なり、クラス分け程度の意味しかありません。
ゆえに130の0.2〜0.3mmという書き方も「実径 0.2x mm」というような意味なのかもしれませんが、「加工精度的に実ノズル径は0.2〜0.3mmの間でばらつきがありますよ」的な意味なのかもしれません。
実際に複数購入して使ってみた感じではHD-130も130も個体差がけっこうあるので、後者の意味なのではないかと思います。両者とも実用に耐えるものの、加工精度が国産品と比べて桁一つ低い感じです。
この130の0.2〜0.3mmという書き方についてですが、台湾製HD-470(HD-470も台湾製と中国製の製品が存在します)の説明書と比較すると、おそらく、ノズル径0.2mmのものとノズル径0.3mmのもので共通の説明書を使用しているためこのような表記になっているものと思われます。
どうしてそのように考えたのかを説明すると、台湾製HD-470ノズル径0.2mm版の説明書が130と470で共通で使用するものになっていたからです。
おそらく、台湾製HD-470は130を生産している会社で130の後に販売された製品で、130は台湾製HD-130なのでしょう。
比較用に購入した台湾製HD-470ですが、ノズル径こそ0.2mmとなっているもののテールキャップにニードルアジャスターが付いていないので塗料が出るか出ないかのぎりぎりのレベルでの細吹きには向かないでしょう。これについてはニードルアジャスター付きテールキャップ(部品が国内購入可能なものではPEACE 3のものなどが流用可能)に交換するかHD-130 0.2mm TAIWAN(ノズル径0.2mm版の台湾製HD-130)を購入した方が良いと思います。
両者ともカップ容量は7ccです。
分解して確認したところ、私が購入したものはHD-130も130もテフロン製のニードルパッキンが使用されていました。つまり、両者とも耐溶剤性能は同等で、模型用のラッカーアクリル塗料を問題なく使用できる耐溶剤性能があります。
使ってみた感じでは両者とも問題なく塗装できますが、細吹きから太吹きまでのコントロール幅は狭く感じます。これはニードルのテーパー長の短さが原因と思われます。操作感はHD-130より130の方が品質的に上のように感じました。
ニードルキャップはいずれも平型の広口でニードルキャップ内に塗料が溜まりにくく実用的だと思います。
ニードル直径は両者とも1.2mmでした。エアテックスのXP-725のニードル直径は1.4mmで、この点、コピーのようでいて、微妙に仕様が異なります。
これらのハンドピースは各部品のネジ規格が同一で部品に互換性があるのですが、XP-725のニードルパッキンをHD-130や130に流用するのはニードル直径的にやめた方がよさそうです。国内で入手可能なニードルパッキンならPEACE 3のものを使用した方がいいでしょう。
両者ともメッキの品質など価格の割になかなかの水準に達している製品ですが、性能的には130の方が良いように思われます。130は形状的にエアテックスのPEACE 3の部品がそのまま使えることが確実で交換部品の国内での入手が容易であることから、もし両者のいずれかを購入するならHD-130より130の方をお勧めします。
130はAmazonではネイルサロンなどの名称で販売されています。HD-130と130はパッケージが判別のポイントとなります。本体とタケノコが別々になっていてタケノコがパッケージ左下に配置されている方がHD-130と覚えておくとよいのではないかと思います。
両者ともメーカー保障無しの製品なので、製品に当たり外れがあろうと不具合の修理であろうと自分で対応しなければならないので、安価ではあっても初心者にはお勧めできない製品だと思います。
エアブラシを使い慣れた人がクリア吹き専用やサフ吹き専用のハンドピースとして追加導入する分には費用対効果の優れたハンドピースだとは思います。