第七回 左足ブレーキ

 実車では右足でアクセルを踏みながら、左足でブレーキを踏む操作のことを指します。
 要はアクセルとブレーキを同時に操る動作のことです。

 色々な用途がありますが、純粋にタイムを縮めるための技術は以下の二種類です。

  • ターボラグを消すための左足ブレーキ
  • 駆動力制御のための左足ブレーキ

 では、これらについて順に説明していきます。

ターボラグを消すための左足ブレーキ

ターボとは

 ターボとは排気流のエネルギーを利用してタービンを回し、その圧力(加給圧)で強制的に吸気を行うシステムのことです。
 自然吸気(NA)のエンジンと比べ加給圧の分、燃焼室により多くの空気を取り込めるため、同排気量ならNAより高出力のエンジンを作りやすいのが特徴です。
 このシステムの弱点として、アクセルを踏んでから排気流がタービンを回し加給圧が発生する(出力が上昇する)までタイムラグがあるということがあります。
 このタイムラグをターボラグといいます。
 ターボラグは加給圧を上げるために大きなタービンを採用する程、長くなる傾向にあります。

ターボラグを消すためには

 ターボラグを消すためには、恒に排気圧を発生させておく必要があります。
 そのためには恒にアクセルを踏んでいる必要があり、減速する際でもアクセルを踏みつづける必要があります。そのための操作が左足ブレーキです。
 ミスファイアリングシステムのような、アクセルを放していても排気圧を発生させる装置を搭載していれば、この操作は必要ありません。

駆動力制御のための左足ブレーキ

 もっとも一般的な使い方ながら理論的に解説できる人が少ないのが、この「駆動力制御のための左足ブレーキ」です。
 以前にも述べたように、タイヤが伝達できる駆動力には限界があり、それ以上の駆動力をかけるとタイヤは路面に駆動力を伝えきれず、スリップ率が上昇してしまいます。
 そこでアクセルを踏みながらブレーキを操作することで「空転分のエネルギーをブレーキで吸収する」のが「駆動力制御のための左足ブレーキ」というわけです。
 これにより駆動力をタイヤの限界内に収めることができ、車の姿勢の安定化をはかれ、パワーバンドの回転数を維持しながらのコーナリングが可能になります。
 いわばマニュアルTCS(トラクションコントロールシステム)。
 特に駆動力をかけ過ぎるとアンダーステアになる前輪駆動車(FWD)で高い効果を発揮します。

番外 その他の用途

 ここでは左足ブレーキのその他の用途について述べます。

AT車でのシフトダウンのための左足ブレーキ

 AT車でドリフトのためのシフトダウンを行うための左足ブレーキです。
 アクセルを踏み込みつつもブレーキを踏むことで、トルクコンバーターを作動させてシフトダウンを行います。
 実車でやるとトルクコンバーターの摩耗を早めます。

後続車への牽制としての左足ブレーキ

 イニ○o○Dでもやっていたアレ。
 いきなり左足ブレーキを踏むことで、後続車にも反射的にブレーキを踏ませるというもの。
 純粋なドライビングテクニックではありません。

このエントリーをはてなブックマークに追加